【ご報告】日本コミュニケーション障害学会で発表してきました
みなさん、こんにちは。
先日開催されました「日本コミュニケーション障害学会」にて、日頃の実践と研究の成果を発表する機会をいただきましたので、ご報告いたします。
今回の学会では、言葉に苦手さがあるお子さんに対して、数値だけでは見えない「おしゃべりの力」を詳しく見極めるための「ナラティブ(物語を説明する力)の評価法」について、具体的な事例やデータをもとに紹介してきました。
「ナラティブ」ってなに?数字では測れないおしゃべりの力
言葉のサポートを考えるとき、ついつい「言語理解のテストの点数」や「WISCの数値」といった「数字」に目がいきがちになります。しかし、検査の数値が良くても、できごとの説明などを求められると「何があったかをうまく説明できない…」と悩むお子さんは少なくありません。
そこで注目したのが「ナラティブ(Narrative)」です。ナラティブとは、簡単に言うと「自分の体験したことや、絵本のストーリーなどを、順序立てて相手にわかりやすく話す力」のことです。
実はこのナラティブ、子どもの言語発達の重要な節目(ステップアップの指標)として評価できることが分かっています。単に単語や短い文を話せるだけでなく、「出来事のつながりを考えて構成する」という、より高度で実践的なコミュニケーションの力がここに現れるのです。
発表では、このナラティブを以下の2つの視点から分析する手法を解説しました。
- 量的側面: 主語を伴って話の起承転結を表出できているか。名詞や動詞など語彙の数は十分かなど。
- 質的側面: 音や語彙、文法など相手に伝わりやすい要素を満たしているか
日本にはまだない「客観的なものさし」を求めて
実は現在、日本のリハビリや教育の現場には、このナラティブを「量的」にも「質的」にも同時に評価できる、確立された客観的な指標(ものさし)がまだありません。
今回の私たちの発表では、その「ものさし」を客観的な指標としてどのように活用できるか、多くの事例から集めたデータをもとに提案しました。
【データから見えたこと】年長さんと小学1年生の間の「大きな変化」
集まったデータを分析したところ、とても興味深い傾向が見つかっています。
ナラティブの量的側面を分析した結果、「年長さん(5〜6歳)」から「小学1年生(6〜7歳)」の間に、非常に大きな差(ステップアップ)が見られるという点です。
★ ここがポイント! 幼稚園・保育園から小学校へと環境がガラリと変わるこの時期は、子どもたちにとって「出来事を順序立てて説明する力(ナラティブ)」がぐっと引き上げられたり、あるいはつまずきが表面化しやすかったりする、とても大切な発達の節目であると言えます。
一方で、小学1年生から2年生、3年生にかけては、この評価法においてはそこまで急激な大きな差は見られませんでした。小学生以降の伸びについては、今後、質的側面の変化をより詳しく検討していく予定です。
学んだことを、日々のサポートへ
数字だけに捉われず、お子さんのことばの力のバランスを丁寧に見極めることが、その子にぴったりのオーダーメイドの支援へと繋がります。
日本にはまだ少ないこの客観的な評価の視点を、さっそく日々の指導やサポートに還元し、より精密でお子さんに負担のない見立てを行っていきたいと考えています。
「小学校に入ってから、学校での出来事をうまく話してくれない」 「言葉の検査は受けたけれど、普段のおしゃべりの力を伸ばすにはどうしたらいい?」
など、どんな小さなことでも構いませんので、いつでもお気軽にお声がけください。 お子さんが「伝えるのが楽しい!」「伝わって嬉しい!」と思える瞬間を、これからも一緒に作っていきましょう。



